暮らしの小さな困りごと

街中を普通に移動している車椅子ユーザーを見るけど…

街中で車椅子を使っている人を見かけることがあります。

駅を移動している。
買い物をしている。
電車に乗っている。
目的地へ向かっている。

傍から見ると、特に困ることなく移動しているように見えるかもしれません。

でも、その「普通に移動している」姿の前には、見えない準備や判断が積み重なっていることがあります。

初めて行く場所なら、

エレベーターはあるか。
段差のない入口はどこか。
途中に急な坂はないか。
車椅子で使えるトイレはあるか。
店内を通れる幅があるか。
雨が降ったらどうするか。

事前にいくつもの情報を調べてから出かける人もいます。

実際、車椅子ユーザーへのインタビューをもとにした研究やサービス開発でも、外出前に経路やエレベーター、道路状況、トイレなどを細かく確認する負担が報告されています。

駅に着いてからも終わりではありません。

エレベーターを探して遠回りする。
駅員にスロープを依頼する。
ホームで待つ。
乗換駅へ連絡してもらう。

日本を車椅子で旅行した人の体験談でも、エレベーターを探すための迂回や、乗降介助の調整で10〜20分待つことがあったと報告されています。

さらに最近の東京圏の研究では、駅構内の移動時間は、車椅子利用者の中央値で歩行者の約2.4倍だったと報告されています。

つまり、街で見えるのは「移動している瞬間」だけです。

その前に、

調べる。
確認する。
遠回りする。
待つ。
助けを頼む。
予定に余裕を持たせる。

そんな工夫が積み重なっていることがあります。

何事もなく移動できているように見えることと、何の苦労もなく移動できていることは同じではありません。

むしろ、難なく移動しているように見えるのは、その人が日々の経験から多くの工夫を身につけているからかもしれません。

バリアフリーを考えるとき、目の前の段差や設備だけでなく、

その人が「普通に移動する」ために、どれだけの準備や判断を引き受けているのか。

そこまで想像できる人が増えるといいなと思う。

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